情報公開文書​マスキング​支援​システム

その黒塗り、本当に大丈夫ですか?
PDFの黒い四角は、文字を消していないかもしれません

黒く​塗ったはずの​氏名が、​コピー&ペーストで​読めてしまう。​2022年以降、​同じ​原因の​漏えいが​全国で​繰り返されています。​なぜ​起きるのか、​どう​すれば​防げるのかを、​専門用語​ゼロで​解説します。

公開日:更新日:

​「黒く​塗ったのだから、​もう​読めないはず」​──⁠その​前提が、​いま各地で​崩れています。​2025年、​公開資料の​一部に​おいて、​黒塗りしたはずの​氏名が​コピーで​読み取れる​不備が​発生しました。​このような​不適切な​状態が、​長期間に​わたって​公開され続けていたのです。​

ひとことで言うと

​「黒く​塗る」​と​​「消す」​は​まったく​別の​作業です。画面の​上に​黒い​四角を​重ねても、​その下の​文字​データは​ファイルの​中に​残ったままです。​人間の​目には​見えなくても、​コンピューターには​ずっと​見えています。

EXPERIMENT

まず、​実際に​体験してみてください

下は、​黒塗りしたつもりの​文書です。​​「テキストを​選択して​読み取る」​を​押すと、​パソコンから​見えている​情報が​表示されます。​実際の​事故と​同じことが、​たった​1クリックで​起こります。

受付番号受開第2026-0142号
請求者氏名山田 太郎
請求者住所東京都港区芝浦1-2-3 シーバンスS館 最上階
連絡先電話03-0000-0000
担当課総務部 情報政策課
読み取れてしまいました。黒い四角はあくまで「上に置かれた図形」で、文字そのものはファイルの中に残っています。実際のPDFでも、範囲選択してコピーする、テキスト抽出ツールにかける、といった操作で同じことが起こります。

※ 上記は解説用のサンプルです。実在の人物・住所とは関係ありません。

CASES

実際に​起きた​こと

公表​・​報道されている​事案だけでも、​同じ​原因の​漏えいが​繰り返されています。​特別に​不注意な​組織で​起きているわけではない、と​​いう​点が​重要です。

2022年
事例A顧客の​個人情報を​黒塗りに​した​議事録​PDFを​公開。
しかし​複数回に​わたり、​氏名等の​個人情報が​確認できる​状態であったことが​発覚した。
担当者が問題を認識しておらず、チェック体制も不十分だった
2023年
事例B外部に​提出した​資料の​黒塗り部分の​文字​データが​PDF​ソフトの​編集機能などで​取得できる​状態であった。​200人を​超える​職員等の​個人情報が​流出。文書作成ソフトで黒塗りしてPDF化しただけだった
2024年
事例C開示請求に​対して​公開した​PDF​資料にて、​本来は​非公開と​すべき個人情報が​閲覧可能な​状態に​なっていた。文書編集ソフトでマスキングしてPDFに変換していた
2025年
事例Dホームページ​上で​公開された​申請に​関する​資料にて、​多数の​申請者の​個人情報が​復元可能な​状態で​掲載されていた。テキストデータが未削除
2025年
事例Eホームページ​上で​公開された​資料にて、​黒塗り​処理した​氏名が​コピーに​よって​確認できる​状態だった。墨塗りしてもコピーで内容を確認できた
2026年
事例FWeb​上に​掲載されていた​Excelに​個人情報が​非表示状態で​含まれており、​ブラウザの​検索結果から​閲覧できる​状態だった。非表示シート・非表示セルの残存
2026年
事例GWeb​上で​公開した​PDF​資料で、​黒塗り処理を​した​住所が​閲覧できる​状態だった。マスキング部分のデータが残存
共通しているのは、​担当者が​手を​抜いた​ことではなく、​「隠す」​​ための​ツールで​​「消す」​​作業を​してしまったことです。​使っている​道具が、​その​作業の​ための​ものではなかった、と​いう​話です。
WHY

なぜ​起きるのか ─⁠ 3つ​の​誤解

誤解 01

​「PDFに​すれば、​もう​編集できないから​安全」​

PDFは​​「編集しにくい形式」​では​​ありますが、​​「文字が​画像に​なる​形式」​では​ありません。​Word や​ Excel から​ PDF に​しても、​文字は​文字のまま​保存されます。​だから​こそ、​PDFの​中の​文章は​検索できますし、​コピーも​できます。

正しくは​:PDF​化は、​文字を​消す作業では​ありません。​むしろ、​文字が​文字と​して​残っている​ことが​PDFの​利点です。

誤解 02

​「黒い​四角を​上に​置けば、​見えないから​大丈夫」​

図形の​塗りつぶし、​蛍光​ペン、​背景色──⁠いずれも​​「上に​重ねる」​​操作です。​下の​文字は​消えていません。​範囲選択して​コピーする、​テキスト​抽出​ツールに​かける、と​いった​操作で​簡単に​取り出せます。​冒頭の​実験で​ご覧いただいた​とおりです。

正しくは​:重ねるのではなく、​文字​データ​その​ものを​取り除く​必要が​あります。

誤解 03

​「ダブルチェックして​いるから、​見落としは​ない」​

目視での​確認は、​塗り​忘れは​見つけられますが、​「塗ったのに​消えていない」​​状態は​見つけられません。​画面上は​正しく​黒塗りされて​見えるからです。​何人で​確認しても、​確認している​対象が​​「見た​目」​である​限り結果は​変わりません。

正しくは​:確認すべきは​見た目ではなく、​出力した​ファイルから​文字を​抽出できるか​どうかです。

SELF CHECK

セルフチェック:あな​たの​職場の​黒塗りは​大丈夫?

当てはまる​ものに​チェックを​入れてください。​入力した​内容が​どこかに​送信される​ことは​ありません。

公文書の黒塗り 8つの質問

チェック数:0 / 8
当てはまる項目を選んでください
チェックを入れると、リスクの目安と次にやるべきことを表示します。
HOW TO

正しい​消し方は、​3ステップ

  • ​「墨消し」​​専用の​機能を​使う──⁠図形を​重ねるのではなく、​文字​データ​その​ものを​取り除く​機能を​使います。​PDF​編集​ソフトの​​「墨消し​​(Redact)​」​は、​​適用すると​該当箇所の​文字が​永続的に​削除されます。​図形​ツールとは​別の​機能です。
  • ページ​全体を​画像と​して​作り直す──⁠もっとも​確実なのは、​黒塗り後の​ページを​画像化し直す​ことです。​ページが​画像に​なれば、​ファイルの​中に​文字​データ​その​ものが​存在しなくなります。​コピーしようにも、​コピーする​文字が​ありません。
  • 出力した​ファイルから​​「文字が​取り出せない​こと」​を​確認する──⁠ここが​抜けがちですが、​最も​重要な​工程です。​公開前に、​出力した​PDFを​テキスト​抽出​ツールに​かける、​あるいは​全選択して​コピーし、​メモ​帳に​貼り付けてみてください。​何も​貼り付けられなければ​成功、​氏名が​出てきたら​失敗です。目視ではなく、​この​確認を​手順に​組み込んでください。
3ステップの​うち、​最初の​2つは​​「作業の​やり方」​、​3つめは​​「確認の​やり方」​です。​事故が​起きた​組織に​共通して​欠けていたのは、​3つめでした。
REALITY

それでも、​手作業には​限界が​あります

やり方が​分かっても、​量の​問題は​残ります。​国の​行政機関に​対する​開示請求は、​令和6年度で​215,425件。​前年度より​9,765件増えています。​​受付の​96.6%は​いまも​窓口​・​郵送で、​紙と​PDFを​前提に​した​運用が​大半です。

215,425

令和6年度の​開示請求件数​​(件)​。​前年度比 +9,765​件

96.6%

窓口​・​郵送での​受付。​オンラインは​3.4%にとどまる

91.5%

法定期限​​(30日)​​以内に​決定。​1年超を​要した​案件は​548件

2,381

不服申立て​​(審査請求​・​件)​。​不開示決定への​不服が​1,041件

職員の​方は、​全​ページに​目を​通し、​氏名​・​住所​・​連絡先​・​日付を​一つずつ探し、​塗り、​確認しています。​見落とせば​個人情報の​漏えいに​なる​ため、​神経も​時間も​使う​作業です。​しかも​​「なぜ消したのか」​を​後から​説明できるように​しておく​必要も​あります。気を​つける、で​解決する​量では​ありません。

SOLUTION

だから​私たちは、​​「外に​出さずに」​支援します

この​作業を​AIで​支援する​サービスは​複数登場していますが、​​その​多くは​クラウド​上で​処理する​仕組みです。​一方で、​デジタル​庁の​​「生成​AIの​調達​・​利活用に​係る​ガイドライン」​​​(2026年6月)​は、​定型約款への​同意のみで​使える​クラウド​型の​生成​AIに​ついて、​原則と​して​要機密情報を​取り扱う​ことは​できないと​しています。​総務省の​自治体向けセキュリティポリシーガイドラインも​​同趣旨です。

不開示情報​その​ものを​扱う​黒塗り作業は、​まさに​その​​「要機密情報」​です。​効率化の​ために​外部へ​送信すると​いう​判断は、​簡単には​取れません。

情報公開文書マスキング支援システム

生成​AIが、​黒塗りの​ドラフトを​その場で​作成

Sovereign GaiXer 上で​動く、​黒塗り作業の​支援​アプリケーションです。​​OCRに​よる​文字の​読み取り、​AIに​よる​候補の​判定、​黒塗りPDFの​生成まで、すべての​処理が​手の​ひらサイズの​筐体の​中で​完結します。​文書が​インターネットに​出る​ことは​ありません。

候補をハイライトした確認画面と、黒塗りしてPDFに書き出した後の状態の比較Sovereign GaiXer の筐体
0出力した​PDFから​抽出できた​文字数​​(実測)​

ページ​全体を​画像化し直すため、​文字​データ​その​ものが​残りません

AIが​候補を​挙げ、​消すか​どうかの​最終判断は​職員が​行う​設計
候補ごとに​​「個人名の​ため」​と​いった​理由と​OCRの​読み取り精度を​表示
AIが​挙げなかった​箇所は、​プレビュー​上を​ドラッグして​手動で​追加できる
誰が​いつどの​操作を​したかを、​年単位の​CSV​ログに​自動記録
PDF​・​Word​・​Excelに​対応​​(Office​文書は​内部で​PDFに​変換して​処理)​

※ 本​アプリケーションは​開発中です。​動作する​状態には​あり、​本番運用前の​残対応を​整理している​段階です。​実機での​デモを​ご希望の​場合は​お問い​合わせください。

COMPARISON

3つの​やり方を​比べると

項目手作業クラウド型AI筐体内で完結するAI
作業時間全ページを目視。件数に比例して増える候補提示で短縮候補提示で短縮
文書の行き先庁内にとどまる外部の事業者へ送信庁内の筐体内にとどまる
要機密情報の扱いガイドライン上の制約あり
処理の記録残りにくいサービスによる操作ログを自動記録
費用のかたち人件費月額・従量課金買い切り(利用量による追加課金なし)
FAQ

よく​ある​質問

AIが​個人情報を​見落と​すことは​ありませんか?

あります。​だから​こそ、​この​アプリケーションは​​「AIが​消す」​​設計に​していません。​AIは​候補を​挙げる​ところまでを​担当し、​消すか​どうかの​最終判断は​職員が​画面上で​行います。​初期設定は​​「人名と​日付は​必ず候補に​含める」​​​「迷う​ものは​対象に​する」​と​いう、​取り​こぼしを​避ける​方​針に​しています。

AIに​文書を​読ませる​ことになりますが、​情報は​外に​出ませんか?

出ません。​OCR​・​AI​判定​・​PDF​生成の​すべてが​ Sovereign GaiXer の​筐体内で​完結します。​インターネット​接続を​前提としないため、​閉域環境でも​利用できます。

本当に​文字が​消えているか、​どう​確認すれば​よいですか?

出力した​PDFを​テキスト​抽出​ツールに​かけるか、​全選択して​コピーし、​メモ​帳などに​貼り付けてください。​何も​貼り付けられなければ、​​文字​データは​残っていません。​私たちも​同じ方​法で​実測し、​抽出できた​文字数が​0である​ことを​確認しています。

すでに​ホームページで​公開してしまった​資料が​心配です。

まず、​公開中の​ファイルを​全選択して​コピーし、​メモ​帳に​貼り付けて​確認してください。​不開示に​したはずの​文字が​出てくる​場合は、​ただちに​公開を​停止し、​検索​エンジンの​キャッシュ​削除も​併せて​依頼する​必要が​あります。​過去の​事案でも、​この​手順が​取られています。

導入すると​して、​まず​何から​始めれば​よいですか?

実機での​デモを​おすすめしています。​実際の​様式に​近い​サンプル​文書を​お持ちいただければ、​その場で​候補の​挙がり方と​出力​PDFを​ご確認いただけます。

SUMMARY

まとめ:この​記事の​3点

  • ​「黒く​塗る」​と​​「消す」​は​別の​作業です。図形を​重ねても、​下の​文字は​ファイルに​残ります。
  • 確認すべきは​見た目ではなく、​出力​ファイルから​文字を​抽出できるか​どうかです。公開前に、​コピーして​貼り付ける​確認を​手順に​入れてください。
  • 量の​問題は​AIで​支援できますが、​扱うのは​不開示情報​その​ものです。どこで​処理されるのかを、​機能と​同じ​重さで​確認してください。